富士堂漢方医学研究所

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漢方教育

富士堂漢方医学研究所

2024/05/31

 

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SCI方証医学への道

SCI方証医学への道
許志泉


1. SCI方証医学の開発経緯
2.SCI方証医学とは
3.富士堂SCI方証医学研究会とは

 

SCI方証医学の開発経緯


1982年、南京中医薬大学に入学した私は中医学の道を歩み始め、中医学の臨床や研究に多く携わってきました。

そのような中、蓄積された経験を持っているかどうかで治療できる幅が大きく異なるという現状を目の当たりにしました。例えば、老中医( 臨床経験豊富な中医師)であれば方剤の加減をしても処方を外さない一方で、大半の中医師はいくら知識があっても経験が足りず、処方を外しやすいのです。同じ知識を持っていても長年の経験を積んでいないとどうにもならない、そんな中医学の臨床現場で私自身も悔しい思いをしてきました。

経験則でしか成立しないということは体系化されていないということであり、中医学のみならず多くの伝統芸能や伝統工芸業界でも生じている問題です。そこで、これを科学的に解明し、現代に合った形で体系化していく必要性を強く感じた私は、1998年に順天堂大学膠原病リウマチ内科に入り、今度は西洋医学の領域で、免疫や膠原病リウマチ疾患についての研究に注力しました。

医学博士取得後、富士堂漢方医学研究所富士堂漢方薬局を立ち上げ、今まで多くの恩師達に教わった私のすべてを用いて、伝統漢方医学を科学的に検証し、現代に生かすための研究・臨床活動に没頭しました。

そして、中医学、漢方医学(日本漢方)、現代医学の三つの学問を照らし合わせ、より正確な応用指標である「SCI方証医学」という漢方理論を導き出しました。

 

SCI方証医学とは


SCI方証医学図

では、私が確立したSCI方証医学とは一体なんなのでしょうか。それは「体質・症候・病が重なる中心点(=証)と、薬方が対応関係にある」という新しい方証医学体系です。この理論を用いることで、30年以上の漢方臨床現場でも大変良い効果が得られており、今では、どんな治療でも治らなかった不調を抱える患者さんが、日本・中国にとどまらず世界中から集まってくるようになりました。

また、従来の中医学や漢方医学と異なり、経験のみに頼る理論ではないため、私の弟子たちも比較的短い期間で、数多く患者さんの証を導けるようになり、漢方治療の領域で活躍しております。

私の研究ポリシーは、臨床的に「より確実なこと」を研究し、明らかにし、応用していくことです。歴史と経験の中で発展してきた漢方医学には、まだたくさんのブラックボックスがあります。それを科学的に検証していく中でたどりついた理論が、SCI方証医学なのです。

SCI方証医学では、客観性や事実、普遍性を重視しています。そのため、伝統医学で使われる一般的な概念であっても、客観性に劣る場合は省いております。例えば、中医学の基本概念である「五臓六腑」はSCI方証医学では使用しません。現代医学の進歩により、使わないほうが証をとらえやすいと判断したためです。

今後も研究を重ね、教育と普及、および漢方医学情報発信を通じて、伝統医学の発展および人々の健康に貢献してまいりたいと思います。

 

富士堂SCI方証医学研究会とは


経験の年数を問わず、SCI方証医学を学び、実践していくスキルの習得を目的とした研究会です。

定期的に開催している研修会に参加することで、症例から実践的に学び、より精度の高い証の導き方を体得していくことができます。

基礎を学びたい方、未経験者向けには、動画にてSCI基礎講座も発信しています。好きな時間に何回でも視聴ができるため、無理なくSCIの基礎知識を身に着けることができます。

是非、共に切磋琢磨し、より質の良い治療の提供へとつなげていきましょう。興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

※研修会は主にZOOMを使ったオンライン講義で行っているため、全国各地から参加可能です。

お問い合わせはこちらから